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凝集モデルとシミュレーション

[1]フラクタルとは

 自然界には無数のパターンが存在する。たとえば、樹木や草花をはじめとする植物の形態、山々や渓谷、あるいは河川や海岸線がつくる自然地形など多くのパターンがある。こうした自然界に見られる複雑なパターンのうちで、ある種の"構造"をもつパターンの集まりが注目されるようになった。これは、フランスの物理学者マンデルブローが提唱した"フラクタル"という概念でくくられるパターンの集合で、フラクタルパターンと呼んでいる。パターンの部分が全体と類似な構造を、自己相似性と呼び、フラクタルパターンを規定する重要な性質である。

 本題材では自然界のフラクタルパターンを再現する「拡散に支配された凝集モデル」を取り上げ、物理的な現象のアルゴリズムを設定してシミュレーションを行いパターンを作り、その結果が自己相似性をもち、フラクタル的であるといえるかを理論値と比較しながら考察する。

[2]拡散に支配された凝集

 粒子が浮遊していて、他の粒子の集合体(クラスター)に接触して付着するまでブラウン運動(ランダムウォーク)をしている。ランダムウォークとは分岐点で移動可能な経路を無作為に選ぶながら移動する運動である。この結果えられたクラスターを"拡散に支配された凝集"という。具体的に、下図のように2次元正方格子の粒子の拡散、凝集を考えよう。
frac-pic-00.jpg

格子の原点に種となる粒子を置いておく。次に、種から十分遠方にある円周上の任意の点に別の粒子を置いてそれをランダムウォークさせる。この粒子を拡散粒子と呼び、格子内を浮遊する。この粒子が、原点にある粒子に接触したとき凝集され2個の粒子のクラスターとなる。この操作を繰り返すと何千何万個からなるクラスターが作られる。このクラスターの生成規則をDLA(diffusion-limited aggregation)アルゴリズムという。またフラクタルパターンの性質として、半径latex math image内にある粒子数latex math imageとすると
latex math image (latex math image:定数)
なる関係がある。ここで、latex math imageをフラクタル次元といい、DLAの密集度を表す。DLAアルゴリズムの理論的な解析からフラクタル次元は
latex math image
で与えられる。latex math imageは格子の次元で今回の場合、latex math imagelatex math imageとなる。