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研究紹介

 可微分多様体上の接続と幾何学的変換群に関連した微分幾何学の分野を主な研究テーマとしている.

平面 latex math image から latex math image への写像には,latex math image における幾何学的性質を不変にするようなものがある.例えば,行列 latex math image によって定義される latex math image の写像 latex math image は原点中心の回転であり,長さを不変にする.このような写像を latex math image の等長変換という.平行移動や直線に関する対称移動なども等長変換である.これに対して,latex math image によって定義される latex math image の写像 latex math image は角度を不変にする.このような写像を latex math image の等角変換という.また,latex math image を正則(逆行列をもつ)行列とするときには,latex math image の写像 latex math image は直線を直線に移す.このような写像を latex math image のアファイン変換という.

このような平面における長さ, 角度, 直線, 種々の変換等は, 現代の微分幾何学では, もっと広範な可微分多様体と呼ばれる空間において考察されている.可微分多様体 latex math image の各点 latex math image における接平面において内積 latex math image が定義されているとき, latex math image をリーマン多様体といって, latex math imagelatex math image のリーマン計量という.リーマン多様体 latex math image 内の曲線 latex math image の長さは latex math image の接ベクトル latex math image の積分 kenkyu_sekibun.png によって定義され, latex math image 内のlatex math image点を結ぶ最短曲線は測地線と呼ばれている.測地線は直線を一般化したものと考えられる.また, 等長変換, 等角変換はリーマン多様体で定義される.

例えば, latex math image次元空間 latex math image の原点を通るすべての直線の集合である latex math image次元実射影空間 latex math image はリーマン空間である.latex math image にたいして latex math image を含み原点を通る直線を latex math image で表すことにすれば, latex math imagelatex math image が原点を通る同一直線上の点であるこを意味する.latex math image から latex math image の上への射影 latex math image によって, latex math image の標準的な計量から latex math image にリーマン計量が誘導される.latex math image次の直交行列 latex math image によって定義される latex math image の変換 latex math image は等長変換である.latex math imagelatex math image 内の原点を通る平面とするとき, latex math imagelatex math image の直線という.latex math image次の正則行列 latex math image による latex math image 変換 latex math image は, 一般には等長変換でないが, 直線を直線に移す.このような変換を latex math image の射影変換という.

リーマン計量はさらに接続という概念に一般化される.可微分多様体 latex math image の接続は latex math image 上の latex math image次のフレーム束 latex math image 上のある種の latex math image次微分形式として定義される.latex math image の接続 latex math image に関する実射影変換とは, latex math image に関する測地線を測地線に移すような latex math image から latex math image の上への微分同型写像を意味する.また, 二つの接続の間に等角同値や射影同値というような関係が与えられる.例えば, 次のような結果が (定理2についてはある条件のもとで) 得られている.
定理1
複素多様体 latex math image において, latex math imagelatex math image はケーラー型の latex math image-完備な接続で, それぞれのリッチテンソル latex math image は平行とする.このとき, latex math image またはある点において latex math image が少なくとも1つの負の固有値をもち, latex math imagelatex math imagelatex math image-射影同値ならば, latex math image である.

定理2
次元が latex math image以上の可微分多様体 latex math image において, 二つの非正定値アインシュタイン計量に対して, latex math imagelatex math image が等角同値ならば, latex math image である.

この二つの定理は, ある等質空間に付随したカルタン接続による latex math image 上の曲線の展開といったものを利用している点で, 証明の方法において似通った部分がある.それらの等質空間は, 定理1 では複素射影空間であり, 定理2 ではメービウス空間である.これらに関連して, 次のような問題が考えられる.

  1. 定理2 を完全に(条件なしで)証明できるか.
  2. 定理1 の証明は, latex math image-測地線といったものの展開に依存している.そのような曲線に依存しない定理2の証明と同じ方法でできるか.
  3. グラスマン同値な接続といったものが考えられるが, これについても定理1, と同様の結果が得られるか.
  4. 一般に, 半単純平坦等質空間に対しても, 定理1, と同様の結果が得られるか.